THP060
ポスターセッション② 8月7日 61B 13:00-15:00
HL-LHC向け超伝導磁石 D1 のクエンチ保護システム安定性評価と 超伝導挿入光源への展開
Evaluation of quench protection system for the HL-LHC D1 magnet with an advanced simulation and its extensive application to new superconducting insertion devices
○西 将汰1, 鈴木 研人2, 4, 菅野 未知央2, 4, 中本 建志2, 4, 荻津 透2, 4, 山崎 祐司3, 満田 史織2, 5, 1, 篠原 智史2, 5, 齊藤 寛峻2, 5(1総合研究大学院大学, 2高エネルギー加速器研究機構, 3神戸大学, 4共通基盤施設 超伝導低温工学センター, 5加速器研究施設 第六研究系)
○Shota Nishi1, Kento Suzuki2, 4, Michinaka Sugano2, 4, Tatsushi Nakamoto2, 4, Toru Ogitsu2, 4, Yuji Yamazaki3, Chikaori Mitsuda2, 5, 1, Satoshi Shinohara2, 5, Saito Hirotoshi2, 5(1SOKENDAI, 2KEK, 3Kobe University, 4ARL Cryogenic Science Center, 5ACCL Accelerator Division)
高エネルギー加速器研究機構(KEK)では、超伝導低温工学センターを中心にLHC高輝度化アップグレード(HL-LHC)向けビーム分離用双極磁石D1の試験/量産化を行っている。D1は150mmの大口径で、定格電流 12110 Aにて積分磁場 35 T・mを発生し、蓄積エネルギーは2.1 MJに及ぶ、NbTi製超伝導磁石である。 熱擾乱などで常伝導転移(クエンチ)が起こると、ジュール発熱で、急激にコイル温度が上昇し、最悪の場合、熱焼損を伴うリスクが発生する。そのためクエンチ発生後の即断的な電流遮断で、コイルの温度上昇を最小限に抑え熱焼損を防ぐクエンチ保護が重要である。KEK磁石試験では、蓄積エネルギーを回収する外部抵抗として5器並列の非線形抵抗器が導入されたが、その個体差や温度依存性で、非線形性がばらつき、特定の非線形抵抗器に流れる電流値の過剰な増加や、エネルギー回収効率の低下、周辺機器への影響が懸念された。そこで、非線形抵抗器のモデルを精密化し、高精度クエンチシミュレーションを作成した。そして、これまでの励磁試験における非線形性のばらつきの範囲で磁石が安全に保護できることを確かめた。 また本研究で開発したシミュレーションを応用し、KEK PF次世代光源リングに向けたNb3Sn超伝導挿入光源(SC-MPW)への展開を目指している。本発表では独自に開発したシミュレーションによるD1クエンチシステムの安定性評価に加え、さらなる大電流密度化が必須となるSC-MPWのクエンチ保護の検討状況を報告する。