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THP035

ポスターセッション② 8月7日 6-1F 13:00-15:00

軌道角運動量を運ぶ遷移放射の初観測
Observation of transition radiation carrying orbital angular momentum

○高林 雄一(九州シンクロトロン光研究センター)
○Yuichi Takabayashi(SAGA Light Source)

1990年代に螺旋状の波面を持つ電磁波(光渦)が軌道角運動量を運ぶことが示されて以来,可視レーザーを用いて光渦の研究が精力的に行われてきた.より広い波長域の光渦を求め,円偏光アンジュレータ,レーザーコンプトン散乱,チャネリング等,相対論的電子ビームを用いて光渦を生成する研究も行われるようになっている.このような背景のもと,本研究では軌道角運動量を運ぶ遷移放射の初観測を目的とする.遷移放射とは高速の荷電粒子が誘電率の異なる物質の境界面に入射した際に生じる放射現象である.円偏光アンジュレータ等と異なり,螺旋運動をしない直進する電子から軌道角運動量を運ぶ光が生成される点が興味深い.実験はSAGA-LSリニアックからの220 MeV電子ビームを利用して行った.45度傾けた金コートシリコンウェハーにビームを入射させ,90度方向に生成された遷移放射を真空窓を通して大気中へと取り出した.そして,バンドパスフィルターで周波数0.3 THz(波長1 mm)の遷移放射を選び,1/4波長板と偏光板を用いてスピン角運動量を選択した後,正三角形アパーチャーやダブルスリット通過後の遷移放射の回折パターンを測定した.得られた回折パターンから,遷移放射が軌道角運動量を運ぶことが明らかになった.分子研らのグループは螺旋運動する電子から軌道角運動量を運ぶ光が生成されるので,光渦は遍在する(ubiquitousである)と主張していたが,本研究により直進する電子からも軌道角運動量を運ぶ光が生成されることがわかったので,光渦はより遍在していると言える.