FRO703
粒子源 8月8日 7号館71A/71B 9:10-9:30
セシウム・アンチモン・酸素を用いた新しいNEA活性化レシピの開発
Development of a New Negative Electron Affinity Activation Method Using Cesium, Antimony, and Oxygen
○郭 磊1, 栗木 雅夫1, ザカリー リプタック 1, 高嶋 圭史2(1広島大学, 2名古屋大学)
○Rai Kaku1, Masao Kuriki1, Liptak Zachary1, Yoshifumi Takashima2(1Hiroshima University, 2Nagoya University)
負の電子親和力(Negative Electron Affinity, NEA)で活性化されたGaAsフォトカソードは、90%以上の高いスピン偏極度を有する電子ビームを生成可能な唯一の光電子源であり、粒子加速器やスピン分解分光などの先端応用において重要な要素技術である。従来のCs-O活性化法は化学的に不安定で、時間経過や光電子引き出しにより量子効率(Quantum Efficiency, QE)が急速に劣化するため、超高真空(<10-9Pa)での運用が必須となるが、それでも寿命には限界がある。この課題に対し、セシウム(Cs)と酸素に代わる新たな表面活性化手法として、Cs-Sb-O、Cs-Te-O、Cs-K-Te、Cs-Li-Oなど、アルカリ金属とアンチモン(Sb)またはテルル(Te)を用いたヘテロ構造によるNEA活性化が提案されている。これらの手法は、化学的安定性の向上や真空要求の緩和、寿命の延長といった観点で有望とされるが、最適な活性化条件は十分に確立されていない。本研究では、Cs-Sb-O活性化に着目し、Sb堆積温度、Sb膜厚、ならびにSb堆積タイミングの3つのパラメータがフォトカソード特性に与える影響を系統的に検討した。その結果、Sb膜厚0.5 nmの条件で、波長780 nmにおいて約2%のQEを達成し、従来のCs-O活性化と同等の性能を維持しながら、暗寿命が従来比で約10倍に延長されることを確認した。